むちうちとは
身構える余裕なく急激に大きな力が加わり、首が鞭のようにしなることで起こる症状を総称したものが「むちうち症」です。
主に、自動車事故の追突・衝突・急停車などで起こり、後から症状がひどくなって深刻になりやすいことから、交通事故によるケガの代名詞のようになっています。医学的には、「頚椎捻挫」「頚部挫傷」「外傷性頚部症候群」などと記載されます。
むちうちの注意点
むちうち症で最も注意が必要なのは、事故直後には痛みや不調を感じない場合でも、数日してから痛みが現れはじめ、徐々に痛みが強くなって日常生活に支障を及ぼすケースが少なくないということです。
交通事故直後は気持ちが混乱していますし、興奮してアドレナリンが出ているため痛みを感じにくい状態です。また、痛みやしびれなどの症状は、腫れが徐々に進んで神経が圧迫されて起こることも多いのです。そのため。事故から数日経過してから首や肩の調子が悪くなることがよくあります。数日してからの受診では、交通事故との因果関係が説明しにくいため人身事故として扱われず、むちうち症に関する損害賠償請求が不可能になってしまうケースがあります。
交通事故による損傷であることを明記した診断書のためには、自覚症状がなくても事故後できるだけ早く整形外科を受診して医師の診断を受けてください。
むちうちの主な症状
- 痛み
(首の後・前・側面、頭部、頚椎、腕) - こりや重さ
(首、肩、背中) - 首を動かしにくい、うまく動かない、動かすと痛い
- めまい、ふらつき、目のかすみ、目の疲労感
- 吐き気
- 耳鳴り
- 握力低下、力がうまく入らない
- 足や指先の麻痺
- 倦怠感
- しびれ など
むちうち症の治療
軟部組織に受けた損傷ですから捻挫と同様に、冷やすことで痛みを緩和し、腫れや炎症を抑えます。急性期には温めてしまうと逆効果ですから、温湿布はしないようご注意ください。
整形外科を受診した場合には、効果的な痛み止めなどの処方が可能です。ただし、痛み止めは痛みを緩和するためのものであり、治癒を進ませるものではありません。安静を保つことが自然治癒には最も重要ですので、無理に動かすことは絶対にしないでください。また、首への負担を軽減させるために、頚椎カラーと呼ばれるコルセットを装着する装具療法を行うこともあります。
炎症が治まったら、固まってしまった筋肉をほぐして、可動域など機能を回復させるためのリハビリテーションを行います。軽度のむちうち症で、最初から当院で適切な治療を受けている場合には、3か月程度で痛みなどの症状がほとんど消え、日常生活での支障もほとんどなくなることが多くなっています。
整形外科での治療をおすすめする理由
交通事故に遭ってすぐに整形外科を受診しないと、数日後にひどい症状が起こってしまっても、交通事故による損傷であることを示す診断書を出すことができなくなることがあります。診断書がないと、もちろん損害賠償請求もできません。事故当日に医師の診断を受けていればこうしたことを防げますので、事故に遭ったらできるだけ早く整形外科を受診してください。
診断書の発行は、法律によって医師免許を持つ者だけに許可されています。整骨院や鍼灸院などでも交通事故による外傷への施術を受けることはできますが、X線撮影などで骨の状態を確認して診断し、診断書を出すことができるのは医師だけです。交通事故に遭ってしまったら、骨や腱、筋肉などを専門にみる整形外科をできるだけ早く受診してください。
また、整形外科では、点滴・投薬など痛みを効果的に抑える治療も可能です。さらに当院では、物理療法や運動療法などのリハビリテーションまでトータルで受けることができますので、安心してご相談ください。